安住録

未来を照らすための過去

4月の映画キロク

 今月もわりと観れたほうかしら。なにはともあれ、『午前十時の映画祭』のおかげで充実した映画ライフを送れております。

 

映画館

 

 『夜は短し』 は、敬愛なる星野源様が声の出演をなさっているのでふらっと公開初日に観てきたのですが、これがもうびっくりするくらいよかった。私はすでにアニメーション化されている森見登美彦作品『四畳半神話体系』や『有頂天家族』は観てきておらず、原作も全く手にしたことがありませんでした。いやあ。すごく面白かったです。なんだあれは。アニメーションがとにかくかわいいかわいい。かわいすぎておそろしい。リズミカルに移ろっていく画面がここちよい。星野さんの声も、最初はおや?と思ってしまったのですが次第に慣れていきました。我らがはなざーさんは相変わらずはなざーさんだった。ロバートの秋山さんもとってもよかったですね。語彙がほしい。
 「午前十時の映画祭」で観た『アメリ』が想像以上に素敵な作品でほくほくしました。印象的なプロローグですこし身構えてしまったけど、同形式のエピローグではすっかり気持ちのいい語りに感じられます。こだわり抜かれた色の表現もアメリのチャーミングさと不思議さを引き立たせていて、音楽もストーリー展開に寄り添っていて、いろんな要素がよく混じりあって支えあっている作品だなあと。観ていてとてもワクワクする映画ですね。なるほどクレーム・ブリュレが食べたくなる。

 

DVDなど

 

 『その男』は、授業で冒頭部分を分析したところ、かーなーり、気に入ってしまったのでレンタルしてきました。私は「血」が苦手なので、暴力表現の多い映画はこれまでかなり避けてきたのですが、これはとても気に入りました。まず始まりかたがすごくて! 始まりのカットも終わりのカットもすごい。これが初監督作品だというのはとても信じられないほど秀逸なカットで始まり、終わります。意味がわからない。あのカットを見て、「えっこれで?」と思ったらたぶんそのひとの負けなんだと思います。たけしのシニカルな笑みが浮かびます。この作品は北野武監督、ビートたけし主演なのですが、当時ビートたけしはまだ事故に遭っていないんですよね。あんなスマートなたけしさん初めて見た。でも、なんとなく非対称を感じる歩き方で、それはもともとたけしさんの歩き方なのかもしれないし、左右対称に歩けるひとなんていないのかもしれないけど、それでもなんとなく違和を感じてしまう「歩くたけし」の姿がとても印象的でした。音楽もいいなあ~。すべてがすべてたけしのアイデアではないのかもしれないけど、それでも本当に秀逸な作品だとおもいます。授業で分析したからこう、ではなく、第一印象で「なにこれ・・・すき・・・」となりました。
 ウェス・アンダーソンはふらっと観に行った『グランド・ブダペスト・ホテル』がとーーーっても面白くて、画づくりもきれいで落ちたのですが、なかなか過去の作品に手を出せていませんでした。で、ようやく観れたのが『ダージリン急行』です。あーーーおもしろかった。三兄弟がかわいすぎてかわいすぎて、そして相変わらず映像がきれいすぎてたまりません。たまらん。

 

観れてないもの

 

5月公開で観たいもの

 朝は良い。良いと知っていながら、すっきり目覚めることのできない日々が続いているけど、それでも「朝は良い」という事実は変わらない。

 どんなに遅くまで寝ていたとしても、夜になるとたいてい0時ちかくには眠くなる。朝のうちにからだを起こして行動し始めると、だから、1日がとっても長くなる。朝はやく起きると、昼寝してしまうこともあるけれど。それでもやっぱり、充実感はすこしちがっているような気がする。

 

 朝、眠いからだに鞭を打ってカーテンを開ける。レースカーテンごしにさす陽の光に目を細めながら、もう一度ベッドに寝転がってかるく10分ほどうだうだするのが好きだ。否、10分はサバを読みすぎかもしれない。時間が差し迫ってないかぎり、30分は優に超えている。

 

 朝は静かだ。3限の時間にいくとひしめき合っている大学図書館の自習スペースも、午前中にいくとまばらにしか使われていない。方々からいろんなオトが聞こえてきてつらくなる*1心療内科の待ち合いも、朝一番の診察のときは職員どうしの「おはよう」の声だけが聞こえてくる。

 静かであることは、こころを穏やかにさせる。特に朝の陽気のなかの静けさは、からだにもこころにも良い効果があるんだろうな、と思わざるを得ないような、神聖さめいたものを感じる。

 

 こんなふうに穏やかに過ごせる朝は、あとどれくらい続くのだろう。

*1:わたしは未だに、発達障害精神疾患のひとを「こわい」と思ってしまうのだ

2017年春ドラマのかんそう

 今期はそこそこ好みなドラマが多かったのですがだんだんと落ち着いてきました。

 

 

 あれ? 全然落ち着いてなかった! なかでも特に気に入ってるのは、母になる、ツバキ、フランケンのみっつかなあ。

 

 母になるは全くノーマークでとりあえず録っとくか〜、ぐらいの気持ちでいたんですがかなり気に入ってます。1話の子役がド下手でびっくりしたんですが、それ以降はまあストーリーに没頭できてるので楽しいです。小池栄子のめぢから。

 ツバキ文具店は、口の悪い多部ちゃんサイコー!たのしー!ってなって観てます。登場人物のあだ名がたのしい。パンティーさん、バーバラ夫人、男爵。あと、上地さんの役がめちゃくちゃ良くてウッとなります。なんだあの幸せ空間。

 フランケンシュタインの恋、はもう完全に綾野剛がかわいい。同様に4号警備は窪田くんがかわいい。でもそれ以上にキントリのおっさんたちがべらぼうにかわいいなんだあれ!

 

 貴族探偵は2話を観て脱落しそうになっています……。豪華でシニカルで楽しいんだけど、冷めずにテンションを保つのが難しそうなんですよね。相葉くんがんばえ……。

「プリティ・ウーマンも見てないの?(笑)」

 わたしは映画を観るのが好きだ。映画館で観るのがとても好きだ。自宅で観るときはなるべく部屋を真っ暗にして没入感を出したい派だ。

 でも、わたしは映画に詳しいわけではない。むしろ観る映画のジャンルは狭いほうだろう。特に洋画にはとんと疎い。ハリーポッターもマーベルも、ちゃんと観たことがない。タイタニックも観ていない。かといって邦画に詳しいわけでもない。過去の日本アカデミー賞受賞作一覧を見ても、ぴんとこないものばかりだ。それでも、映画を観るのが好きだ、と胸を張って言える。わたしは映画を観るのが好きだ。

 だけど、ときどき「映画好き」への評価がきびしいひとがいる。どうしてそんな決めつけをするのかわからないけど、タイトルのようなことを言われたことがある。「映画好き言うといて、『プリティ・ウーマン』も観とらんの?(笑)」と。ひどい話だ。こんな言葉無視すればよかったと、こんな2年も引きずるほどの言葉じゃないだろうとも思うけど、わたしはこの言葉によって確かに傷ついてしまったのだ。わたしにとってこの言葉は呪いなのだ。なんでこんなこと言われなきゃいけなかったんだろう。観なきゃ損!とか、そういうことを思うこともあるけど、「これを観てないやつに映画好きを名乗る資格はない」なんて言うような作品なんてないでしょ。「違法アップロードするやつは映画好き名乗るな!」とは、訳が違うでしょ。

 

 カラオケのときの大好きな上司の映画の勧め方がとっても理想的だったなあ。〇〇観ました超良かったです、と言ったら、アレが良かったなら□□も面白いと思うぞ、みたいな。ああ。映画の話をまたしたいです、上司殿。

悪夢ちゃん ぱーとつー

 最近また夢をみるようになった(つらい)。「へえ〜」と言いながら読んでくれたらうれしいです*1

 

 こないだ、カラオケバイトを正規の手続きを踏んだ上で辞める夢をみた。手続きを踏むか否か以外の点は現実とかわらなくて、わたしは店長に毎日嫌味を言われてへとへとだった。辞めることが決まってからも店長の嫌味はとまらなかった。夢のなかのわたしは店舗を去る日までロッカーに私物を残していたのだが、なんとその前日に店長によって私物は処分されていた。どんな問答があったのか正確には覚えていないが、店長は悪びれもせず、当然のことをしたまでだ、という。なにが当然なのかわからないし、いささか店長のことを残酷にしたてあげすぎだとは思うが、かといって違和感があるわけでもない。そういうひとだった。

 

 今日、また悪夢をみた。今度は、いまもなお確執のある大学教授が登場する夢だった。教授が登場するのに舞台はなぜだか慣れ親しんだ田舎の高校で、高校のころの担任(F先生)と、そしてこちらもどういうわけか小学校のころの担任(M先生)がでてきた。ふたりの担任はわたしの味方で、目覚めたあとの後味の悪さのなかにも「信じられるひと」がいることの幸福さがあった。

 夢のなかでの教授との関わりはよくわからなかったのだが、まあ現実とおなじように心無いひとことで傷つきまくった挙句パニックを起こしたのだろうとおもう。わたしは教授のそばを離れて、M先生のもとへと向かった。パニックになったわたしのことを落ち着かせながら「許せないな」とつぶやいた。そこにF先生も駆けつけてくれた。特にここからのストーリーの進展はなかったが、どうなったのだろう。目が覚めたのは予定よりも2時間ほどはやい時間で、普段ならすぐに二度寝を決め込むのだが、ふたたび眠るのがすごく怖かった。

 

 この1年で受けた傷は、自分が思っているよりずっと根深い。どれも自業自得というか、自分がまったく悪くないわけではないけれど、それでも必要以上に傷ついた1年だったように思ってしまう。こういう夢をみるのが、それを示している。

*1:『カルテット』