『さよならくちびる』
シンプルな構図に長回し、ミニマムなBGM。すべての要素、志摩の存在さえもが、ハルレオを引き立たせる。
過去といまの境界があやふやですこし混乱したところもあったのだけど、きっとツアー中のハルとレオもそうだったのだろう。いまのきもちと、過去のきもちが交錯して、未来のことは不透明のまま。
状況を動かすポイントがいくつもあるように見えるけど、すこしの動揺のあとまた元どおりの空気におさまる。
元どおりを繰り返すさまをみているうちに、すこしずつ彼女たちへの想いがつのっていたのか、我ながら驚くほど突然に、涙をながしていた。
たった2時間、劇中でいえば2週間の、彼女たちの一部を見ただけにすぎないけど、その結末のあやふやさも彼女たちらしさに溢れていて、志摩のなんともいえない表情も含めて、なんていとおしい作品なのだと、志摩のような表情で劇場を後にした。